1ミリ以下のレベル調整にこだわり、数ヶ月かけました。
大﨑 友也
研究開発本部 商品開発部開発3課
2012年入社
自動車部品メーカーで品質管理を2年経験。当社入社後の配属は品質保証部。商品開発部に異動しスタンパ-、スタンプ台、新商品を担当。工学部機械システム工学科卒
前職の経験を生かしつつ、新業界にフィットしていけた。
もともと工学部出身なので、いつかはものづくりに携わってみたいと思っていました。前の職場は自動車の一部分だけを担う仕事でしたが、シヤチハタはひとつの製品を企画から最終形まで自社で完結できるところに魅力を感じました。さらに、開発拠点が地元の愛知県稲沢市だったことも、転職への後押しになっています。最初に配属されたのは品質保証の部署で、志望していた開発の部署とは違ったのですが、今思えば前職で近しい業務をしていたので、経験を生かしながら新しい業界に少しずつフィットしていけたことはよかったと思っています。
頭の中には常にお客様視点がある。
現在は主に、国内・海外市場に向けた捺印具の開発を行っています。そのなかには、工場の機械に組み込むものや、ゴム、金属、プラスチックなど紙以外に捺印するものなど、さまざまな種類の捺印具を取り扱っています。基本的な業務としては、製品の設計をCADで行い、それを3Dプリンターで夜のうちに造形しておき、翌日に動作を確認・検証する流れです。この作業、ひと昔前までは金型を用意するなど今よりずっと時間も手間も必要でしたが、3Dプリンターのおかげで開発スピードは格段に上がっています。考えたものがどんどん形になるおもしろさは、この仕事の醍醐味のひとつです。
開発で最も大切にしているのは、お客様の視点に立つことです。何をしていても、常に「どうしたらお客様に喜んで使っていただけるか」を頭に入れています。ある程度完成に近づいた製品は、性能試験や耐久試験を行うのですが、先日とある製品では、自らハンマーで叩くことで強度を確かめました。想定外の使い方や衝撃を与えられてしまうことも考慮し、あえて厳しい試験を行ったのです。こうしたほんの少しの工夫で、お客様により安心安全な製品を届けられると思っています。
シヤチハタの名に相応しい品質を追求。
私が開発に携わった製品で印象深かったのが「組み合わせ印」です。社名や住所、電話番号などを1行ずつ作り、たとえば「社名と住所だけ」のように必要に応じて組み合わせて捺印できる製品です。磁石で簡単に着脱できることで、多くのお客様にご好評いただいています。
開発当時、組み合わせたときの行間がどうしても不規則になってしまう問題がありました。1mmにも満たないレベルの話なのですが、シヤチハタの製品としては大問題です。樹脂の厚さを何度も調整しては検証する日々が続きました。また、磁石の接着具合についても試行錯誤しました。強すぎると取り替えにくく、弱すぎると使いづらい。この絶妙な加減を追求し、結局ここだけで数ヶ月も要することになったのです。非常に小さなことのようにも思えますが、ここまでやるからこそのシヤチハタですし、結果として多くのお客様にご満足いただけていると思っています。
上司から「何か問題があれば私が責任をとる」と言われた。
部署としては、デジタル文具の開発にも力を入れています。まだ具体的に開発された製品はないのですが、IoT技術を取り入れるなどして新しいものを生み出そうとしている最中です。思えば前職では、言われたことをやるのが仕事だと思っていました。ここでは自分で考える時間がものすごく増え、挑戦することが文化のように根付いているので、今は仕事そのものが楽しく感じます。私が入社したばかりの頃も、責任感のある仕事をどんどん任されましたし、上司からは「何か問題があれば私が責任をとる」と聞かされました。仕事に対してすごくやりがいを持たせてくれる職場だと思います。
こうしてまわりの上司や仲間を見ると、今の自分の実力のなさに焦りを感じてしまいます。特に開発としての経験日数が浅いので、できる限り周囲と積極的に関わることで、知識・技術ともに向上させていきたいです。具体的なところでは、特許出願件数を増やすことも目標にしようと思っています。また、私より若い人たちが続々入社してきているので、若手に頼ってもらえるような存在になることもめざしていきたいです。
約束の証
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